嘘とワンダーランド
わたしがよく行くファミリー層の雰囲気とは違って、大人っぽくてモダンな雰囲気が漂っている。

何だか敷居が高そうだな。

そう思いながら課長に手を引かれるまま、店内へと足を踏み入れた。

「予約していた朽木と言いますが」

課長は店員を呼び止めると声をかけた。

「はい、用意していますよ」

店員はこちらですと言って、わたしたちを個室へと案内した。

個室もモダンな雰囲気が漂っていた。

ここについて、課長がようやくわたしの手を離してくれた。

「座ろうか?」

そう言った課長に、
「あ、はい…」

わたしは首を縦に振ってうなずくと、椅子に腰を下ろした。

あっ、カバンどうしよう…。

カバンを片手に困っていたら、
「よろしかったら、こちらをお使いください」

店員が椅子の下からかごを出した。

「ありがとうございます」

わたしはかごの中にカバンを入れた。
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