嘘とワンダーランド
「えっ?」

わたしは驚いて聞き返した。

もしかしてとは思うけど、見てた?

いや、でも課長はわたしの行動には一切口を出さなかったはず…。

それどころか、わたし自身にも興味がないようなことを言っていたような言っていなかったような…。

「だから、何かあったんだろ?」

課長は不思議そうに聞き返してきた。

「えっ…えーっと…」

あったと言えばあったような気がするんだけど…。

「何があったのか忘れちゃいました」

そう言ったわたしに、課長は驚いたと言うように目を見開いた。

すぐに、
「まあ、何もなくなったのはいいことか」
と、課長が言った。

「何ですか、それ」

そう言ったわたしに、
「おっ、笑ったじゃん」

課長が言った。

わたしは自分の頬に自分の手を当てた。
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