嘘とワンダーランド
社長夫婦には子供がいないため、社長の妹の息子である正文に近い将来会社を継がせるのだそうだ。

彼と福田家の長女、福田早苗(フクダサナエ)が結婚をする…はずだった。

ところが最初の顔あわせの時だった。

いつものように朝ご飯を食べようとした時、
「あなた、大変です!」

悲鳴のようなお母さんの声に、わたしは箸を落としそうになった。

「何だ、朝から騒々しい」

お父さんは呟いた後、新聞から顔をあげた。

「早苗の部屋にこんなものが…!」

お母さんが1枚の紙をお父さんに見せた。

「ええっ!?」

それを見たお父さんの大きな声に、わたしはまた箸を落としそうになった。

一体どうしたって言うのだろう?

そう思いながらお母さんの手元にある紙を覗き込んで見たら、
「ええっ!?」

驚きのあまり、わたしは大きな声を出した。
< 9 / 303 >

この作品をシェア

pagetop