嘘とワンダーランド
５◇上司の元カノとすれ違う関係
翌日になっても、わたしの心の中のモヤモヤは晴れなかった。

「大丈夫か？」

ぼんやりとしていたわたしに、京やんが小声で話しかけてきた。

「あー、まあ…」

わたしは呟くように答えると、仕事に集中しようとした。

課長と千沙さんの関係が気になって仕方がなかった。

京極ネットワークを使えば、千沙さんのことがわかるかも知れない。

一瞬そう思ったけど、京やんに課長と結婚をしていることから話さないといけないと思った。

わたしと課長が結婚をしていることは、社内では秘密なのだ。

もちろん、入社した時からの友達である京やんのことを信じていないと言う訳ではない。

だけど、どこかで間違えて秘密が漏れてしまう可能性がある。

そう思うと、何も言うことができなかった。
< 96 / 303 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop