可愛い俺の仔猫ちゃん
翔輝はレンタル屋に月陽を迎えに行ったが、月陽はいなかった。

「すみません、さっき150センチぐらいの女の子見ませんでしたか?髪の毛は肩ぐらいでちょっと茶髪っぽいです」

「あぁ、こんな時間にあんな子が来たから驚いたので分かりますよ。先ほど店内から出られましたけど」

店員に訊ねるとここにはもういないということだった。

すれ違ったら必ず分かるはず。なのに分からなかった。

翔輝は携帯を取り出して空月に電話した。

「…もしもし?空月?」

『何?月陽いた?』

「いや、店は出たらしいんだけどすれ違ってないんだよ。もう家に着いたかと思って連絡してみたけどその反応じゃいないみたいだな」

『こっちにはいないし、ついでに言うと携帯も置いてってる』

最悪の状況、そう思っていたら

「あ…」

『もしもし、翔?いたの?』

そんな空月の声を無視してぶちっと電話を切る。

「あ、そのお店なら真っ直ぐ行って、2番目の角を右に曲がった後に左に行けばありますよ」

「ん〜、ちょっと分かんないからついて来てくれない?分かったらすぐ降ろすからとりあえず車に乗ってもらっていい?」

「あ、はい。いいですよ」

翔輝が見つけたのは見ず知らずの車に乗っている男に道を教えている月陽だった。挙げ句の果て車に乗り込もうとする 。
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