可愛い俺の仔猫ちゃん
5歳にこんな現実は辛過ぎる。

「ねぇ!お家帰ろうよ!今日の晩ご飯は何?ねぇってば!早く起きてよ、ねぇ!」

どれだけ体を揺すっても起きない。

「空月君やめるんだ!!」

翔輝の父親が叫び、それにビクッとして固まる。

「空月君と月陽ちゃんのお父さんとお母さんはな、もう死んだんだ。もう動かない、喋らない、目を開けないんだ…っ」

「う、そ…やだやだ、いやだ!!!お父さん!お母さん!…ふっ、うぅ…うわぁああんん…やだよぉ…ふぇぇんん、やだぁ……」

月陽が大泣きし出すとそれに続いて空月も泣き出す。翔輝だけは呆然と立ち尽くしてそれを見ていた。

何も食べず飲まず、そのまま泣きながら夕方まで過ごし、2人が泣き疲れて眠ると翔輝の両親が家に連れて帰った。

それから数日して2人の葬儀が行われ、火葬もされた。もちろん、2人が泣かない日なんてなかった。

両親が残した家に5歳の双子が生活できるだろうか、できるわけがない。まだ小学生にもなっていないこの2人に何ができるだろう。

空月と月陽はしばらく翔輝の家に住んだ。双子の祖父母は家が遠い、だったら2人が両親と住んでいた家がある家でしばらく預かると、そういう話になった。

ただ、これからのことを考えると食費も生活費も学費もかかる。それは幸い、2人の祖父母が支援していくことになった。

「本当にありがとうございます…お願い致します…」
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