可愛い俺の仔猫ちゃん
「私たちも出来る限りはこっちに来ようと思います…」

双子の祖父母はそう言って、2人が亡くなった2週間後に帰って行った。

それからお盆やお正月の度に双子の祖父母はこっちに来ている。

空月と月陽が中学生になってからは、2人で協力して両親と住んだ家に戻って生活することになった。

そして今…性格は全く違うものの、姿がよく似た双子に成長した。傷も時間が癒した。もちろん、完璧に癒されるわけではないし、仏壇に手を合わせることを2人は毎日忘れない、お盆やお正月の度に来る祖父母や翔輝の両親にしっかり感謝することも忘れなかった。

空月は双子とは言え、兄として妹を守り、妹はある程度の家事をする。2人で支え合い、お互いが1番の理解者であり、片方だけじゃ生きていけない。

ーーーー……

「翔ちゃん…いつもありがとう…。私は、翔ちゃんも大事、空月と同じくらい大事だよ…っ、きっと、空月も翔ちゃんのこと大事」

そう言って手を翔輝の背中に腕を回して抱き締め返す。

「俺も2人が大事だよ。それと…」

翔輝は躊躇った、言うべきか言わないべきか…月陽が好きだと。

「翔ちゃん?」

不思議そうな顔をする月陽をじっと見つめ、顔を近づけた。そしてそっと口付けをした。

「んっ…」

一瞬体を揺らしてびっくりした月陽だけど困惑したままで拒否もせず固まっていた。
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