可愛い俺の仔猫ちゃん
花火は8時からで今は7時過ぎ。屋台はもう賑わっている。

「ん〜〜、空月に何買って帰ろうかな」

「あれは?」

翔輝が指差したのは長いワッフル。

「おー、いいね!持ち歩くの大変だから帰りにしよ!」

「そうだね。月陽は何食べたいの?」

「えとね、うーん、あ!あれ行こ!」

月陽が指差したのは定番のりんご飴。

「ん、いいよ」

屋台の列に並んでりんご飴を待つ。祭りの屋台だからこその特別感があるりんご飴。

「可愛らしい彼女さんだね〜〜」

屋台のおじさんがにやにやして翔輝に言った。

「ははっ、ありがとうございます」

苦笑してりんご飴を受け取る。

「翔ちゃんいらないの?」

「俺甘いの苦手」

「あ、そうだった。じゃあ何にする?」

「俺はいらない。それより早く花火会場に行かないと見える場所に行けなくなるよ」

「そっか、行こ!」

人はもう大勢溢れていて、なんとか見える位置に動けた。

「月陽見える?抱っこしようか?」

「い、いい、いいよ!!」

「そんな焦らなくても」

「…翔ちゃん、さ」

「ん?」

俯いて何かを喋ろうとする月陽。
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