可愛い俺の仔猫ちゃん
「冬なのに?」

「ど、どうだろう、蚊じゃないかもしれないわ。かぶれたのかな」

「そっか」

もちろん、何も疑わずに信じ込む。

「まったく…ホント純粋過ぎて罪だわ」

「え?」

「な、何でもない!」

ぽかんとした顔で愛璃を見つめる。

「あ、先生来たわよ。月陽、寝ちゃったら私が起こすからね」

「はーい」

馬鹿そうに見える月陽もちゃんと話しは聞くし、ある程度勉強もする。成績は悪くない。

そんな1日もすぐに過ぎて下校の時間になる。

「愛ちゃんバイバイ!また明日ー!」

「またね!」

愛璃と別れると自分がいつも通る東門で兄と待ち合わせる。今日はアルバイトの日。

「月陽、やっと来た」

「ごめんね、愛ちゃんとお話ししてたの」

「そっか。じゃあ行こ」

しばらく歩いて、洋風なレンガの建物のドアをからんからんと開ける。

「こんにちはー」

「こんにちは!」

「空月君、月陽ちゃん、こんにちは。今日はね、パーティーの予約が入ってるから忙しくなるわよ」

「2人ともしっかり働けよー」
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