可愛い俺の仔猫ちゃん
いつも住んでるとことは少し違った雰囲気、静かで落ち着いてるのに少し賑やかだった。

商店街で少し買い物をすると、お墓まで移動した。

正月だからか他のお墓にも花やお供え物があった。

「ここじゃな…」

"鈴原(すずはら)家之墓"

「洸、有希さん、あなたたちの子どもが来てくれましたよ…。2人とも立派に大きくなって…背が高くないのは華奢でさかった有希さんに似たのかしらねぇ…」

涙ぐみながら祖母が墓石に語りかける。

「…父さん、母さん、俺たちもう17歳だよ。お金や事務的なことはたくさん支援してもらってるけど、自分たちでしっかりやれる。月陽も俺や翔が守るから、だから安心してね…」

ピューッと冷たい風が頬を刺す。

「お父さんとお母さんがいなくなっちゃって、寂しくて悲しくてもう会えないのすっごく嫌だったし、今もたまに生きてたらなって思う。でもね、空月や翔ちゃん、たくさん友達もできたよ…。だからっ…ね、っふ…う、これ、か…らもっ、ずっと見てて…っ」

最後は嗚咽でちゃんと喋ることができなかった月陽。

「そんなんじゃ父さんも母さんも安心できないよ、月陽」

「ごめっ…」

泣きじゃくる月陽の背中を優しく祖母が撫でる。

それから家に戻り、家事や畑仕事の手伝いをしてその日は終わった。昨日の雨が嘘かのように今日は晴れていた。

「空月君、月陽ちゃん、来てくれてありがとうね。とても楽しかったわ、またいつでもいらっしゃい、待ってるわ」
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