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凛花
私は、遠くを見ていた。どこかは分からない。けど、ずっと、ずっと遠くを見ていた。
『あのー、凛花さん…ですよね?』
ー凛花…
その名前に覚えがあり、振り向いた。
私は、凛花だ。
『はい。凛花です。』
誰かしら。いつものおばあさんじゃないみたい。
いつもみたいに男の人からの依頼だろう。断ろ。
そう思って口を開くとそれは彼女の声によって掻き消された。
『お姉さんからの依頼です!』
…お姉ちゃん?
『それって…絢花お姉ちゃん…?』
『はい。』
ああ…絢花お姉ちゃん。懐かしい。
私、この名前を聞きたくてずっとここにいた気がする。