From


そう願って開けたドアの向こうに凛花の姿があった。


「…凛花…??ほん…とに、凛、花なの?」

6年前、あの日着ていた白のワンピース。ふわふわのロングヘアに目の下のほくろ。

本当に《凛花》だった。

そのふっくらな唇が動く。優しい、優しい笑顔で
 
「絢花お姉ちゃん」

そう呼んだ。


久しぶりのその感覚に熱いものが込み上げる。


「っ…!!」

私はいつの間にか凛花に抱きついていた。

そして、2人で笑い合う。


ーあの日に、戻れたら。
そんな事をどれ程思ったか。

いま、凛花と笑い合っている。
いま、凛花のその笑顔を見ることができる。
いま、凛花の温もりを感じることができる。


あの日々がどれ程幸せだったか。

< 43 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop