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そう言って手渡されたのはクリーム色のティディベアだった。
いつもケンカしたら凛花が必ずくれる。仲直りの印ー。
「絢花お姉ちゃん…私こそごめんね。あの時ついカッとなってさ。」
凛花はいい子だった。いつも自慢の妹だった。
「まさか、自分が火事で死んじゃうなんて思いもしなかったけどねっ!」
ーそう『凛花』は恥ずかしそうに笑った。
胸が締め付けられる思いで、底のない沼に沈みそうで。
怖くて、怖くて…
私はあんなに立派じゃない。やっぱりこんなお姉ちゃん失格だ。
「凛花。ありがとう。一緒にいれて楽しかったよ。このティディベアも大切にする!」
「え?絢花お姉ちゃん、もう行っちゃうの?」
「うん。だって、ほら。…もう…明るいよ?」
「本当だ…」
そう言って2人で見た夜明け。私はきっと忘れない。