From

家に帰る頃にはもう7時だった。

「ただいま。」

「あー、おかえり。なあ、母さんと父さんまだ帰ってないの?」

心臓が飛び出しそうだった。

「聡斗…?パパとママは、死んだんだよ。
…もう、帰ってこないんだよ??」
 

自分で言ったのにその言葉が自分に突き刺さってきた。

そうだ。パパとママはもういないのだ。
パパの優しい声も聞くことができない。
ママのおいしい手料理も食べれない。

聡斗は思い出したかのようにその場で黙って立っていた。

「あー。そうだった…よな。…会いたいよ…。
母さんと父さんに…俺、会いたいよお…」

聡斗が泣いているのを見て私ももらい泣きをした。

私だって…会いたいよ。でも、もういないんだよ。

泣いている聡斗から離れてパパとママの寝室に入った。

その瞬間、パパとママの匂いがした。

一気に涙が溢れてくる。

「…パパッ!!ママッ!!…会いたいよお…!!」

パパとママが毎日寝ていたダブルベッドにもたれかかる。

そして私はそのまま意識をなくすように眠りについた。
< 8 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop