GOLD BOY〜不良彼氏〜



あたしの彼氏なんすけど。

その人あたしのなんすけど。

狙わないでほしいんすけど。



そんな私の願いを無視するように、ギャル達は平然とする葵にまだまだ話し掛ける。




「ねぇねぇ、無視しないでよ」




甘ったるい声を出すギャルに対して葵はパンを食べるのを止めたものの返事する事はなかった。



けど、さすがに無視するのは可哀想だと思ったのかダルそうに口を開いた。




「葵だけど。何?」


「だよねぇ。葵くんじゃなきゃ人違いだもんねぇ。うち恥かくとこだったよねぇ」


「…」




それが何?とでも言いたげな葵の顔に笑いそうになった。



他の男と比べたら、あまり女と話さない葵。



女が苦手なわけじゃないんだろうけど、女と話してる葵は付き合ってから見たことない。



だから、他の女に対する嫉妬とかは今はまだ抱いたことがない。



葵はダルそうに立ち上がると、ギャル達に向かってニヤっと笑った。




「俺に、何の用?」




ぐいっと顔をギャルの一人に近付けると、その一人は顔を赤くした。



おい、単純だなぁ。

ギャルのくせに単純だなぁ。



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