GOLD BOY〜不良彼氏〜
★お兄さん登場
葵は私の名前を呼んだだけで、口を再び閉ざしてしまった。
でも私に向けられた視線はそのままで、私が恥ずかしくて視線を逸らしても尚、横から視線が感じられた。
何か言いたいなら言えばいいのに、無言でいる葵は何か言いたげな表情で尚も見つめてくる。
私はその視線に耐えきれず、
「そ、そんなに見とれるほど、あたしってば可愛いの?」
―…なんて、ほざいた。
いかにも『調子乗ってんじゃねぇぞ』的な顔をする葵。
謝ろうかと思ったけど、空気扱いしてくれたお返しにしておいた。
「な、なーんちゃって♪」
謝る代わりに誤魔化してみたけど、あまりに調子乗った誤魔化し方になってしまった。
失敗したと思った。
葵の口が怪しく笑ってたから。
「俺ら、以心伝心してんだな」
「…え?」
「美鈴の言う通り、美鈴が可愛いから見つめてた」
そう言って葵は笑った。
その笑顔は、反則だと言いたくなるほど見とれてしまった。
あんなの冗談だったのに、それを葵にとって当たり前のように言われると頭がこんがらがる。
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