GOLD BOY〜不良彼氏〜
それから一分も経たないうちに、息を乱した葵は私と天沢先生のいる教室に入ってきた。
「おまっ…、さすがにその脅し方はねぇだろ」
「ああでも言わないと、ここに来なかったでしょ?」
図星を言われたらしく、しばらくの間、葵は黙っていた。
次第に学校祭委員の話になっていき、
私の、さっきと似た脅しで葵は大人しく委員を止めることにした。
「これじゃあ毎日帰れねぇな」
葵はコンビニのお菓子コーナーで拗ねるように呟いた。
天沢先生は、葵のクラスからは他の人に委員を頼むことを了承してくれたので、
今日のところは、私と葵を帰してくれた。
帰る途中にコンビニに寄りたいと言った私の我が儘に、葵はつき合ってくれた。
それで、今に至る。
「ただでさえ朝昼晩も一緒にいてぇのに、夕方の帰ん時に一緒じゃねぇとか、無理」
「うん、あたしも」
「なら何で委員辞めさせたんだよ」
「あのね、人には得意不得意があんの。葵には委員をやることが不得意なの。だからだよ」
私は、お菓子コーナーの棚から、58%カカオチョコレートとじゃがりこを手に取った。
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