GOLD BOY〜不良彼氏〜
★交わらない心
行きに来た道をとにかく進んで、分からない道は何となく右に曲がってみた。
葵んちに行けばなんとか帰れるから葵んちを目指したけど、葵んちらしき家が見当たらない。
ってか、今自分がいる場所自体どこなのか分かんない。
しかも電灯が全然ない。
だからかもしれないけど、夜ってのもあるかもしれないけど、とにかく暗くて怖い。
後ろから誰か襲ってくるんじゃないの!?
白い着物着た髪の長い女の人が後ろにいるんじゃないの!?
お化け出てくるんじゃないの!?
あたし死んじゃうんじゃないの!?
そんなことを考えちゃうくらいに辺りは暗くて薄気味悪い。
今ここで葵が追いかけて来てくれたら、こんな怖い思いしなくても済んだのに。
―…なんて、実際は勝手に私が出てきたのがいけないのは分かってる。
でも、追いかけて来てほしいのは女心ってやつで。
追いかけて来てほしいからこそ、勝手に出ていってるわけで。
何も言わなくても、追いかけて来てほしいのが女心ってわけで。
まったく知らない道を進む私のところに、期待してた葵が来ることはなかった。
.