GOLD BOY〜不良彼氏〜
しゃがんだ体を起こして立とうとしたら、慎悟くんが腕を掴んで立たせてくれた。
そんな優しさが、今の私には心奥にグッと染みてきた。
「こんな夜中に1人で歩いてたら危ないじゃん。葵は?一緒じゃないの?」
爽やかに笑ってそう言う慎悟くんは、さらっと答えづらいことを聞いてきた。
葵のことは話したくない。
てか、話せるようなことじゃないし。
私が勝手に1人で怒って、1人で出てきちゃっただけだし。
……なんて、慎悟くんに話せるわけないから、私は無言で答えた。
すると慎悟くんはポケットから携帯を取り出して、私の顔の前に差し出した。
「話してあげようか?」
「…え?」
「何があったかは知らないけど、美鈴ちゃん、葵と今は話したくないみたいだし」
え?何で知ってるの?
あまり話さない私の考えてることを当てちゃう慎悟くんは、もしかしたらエスパーなのかも。
だって、その後軽く笑うと
「俺が美鈴ちゃん1人にしちゃったからだよね。ごめんね?ひとりぼっちにさせちゃって」
また、さらっと言ってみせた。
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