GOLD BOY〜不良彼氏〜



しゃがんだ体を起こして立とうとしたら、慎悟くんが腕を掴んで立たせてくれた。



そんな優しさが、今の私には心奥にグッと染みてきた。




「こんな夜中に1人で歩いてたら危ないじゃん。葵は?一緒じゃないの?」




爽やかに笑ってそう言う慎悟くんは、さらっと答えづらいことを聞いてきた。



葵のことは話したくない。


てか、話せるようなことじゃないし。


私が勝手に1人で怒って、1人で出てきちゃっただけだし。



……なんて、慎悟くんに話せるわけないから、私は無言で答えた。



すると慎悟くんはポケットから携帯を取り出して、私の顔の前に差し出した。




「話してあげようか?」


「…え?」


「何があったかは知らないけど、美鈴ちゃん、葵と今は話したくないみたいだし」




え?何で知ってるの?



あまり話さない私の考えてることを当てちゃう慎悟くんは、もしかしたらエスパーなのかも。



だって、その後軽く笑うと




「俺が美鈴ちゃん1人にしちゃったからだよね。ごめんね?ひとりぼっちにさせちゃって」




また、さらっと言ってみせた。



.
< 166 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop