GOLD BOY〜不良彼氏〜
立っているっていうのは、意外にもつまんなくて、意外にも体力が必要らしい。
あんなに笑顔で話しかけてくれた慎悟くんも黙ってるし。
私は立って、慎悟くんが公園に来た目的を果たすのを待ってないといけない。
その時間が長いのなんのって……
「やっべ…疲れた」
その長いつまんない時間を破ってくれたのは、全力疾走してきたであろう、髪が乱れた葵。
私は正直、今は話したくなかったし気まずかったから、葵と目が合わないように俯いた。
葵を見てなくても分かるくらい、葵は早足で慎悟くんに近付いた。
チラッとそっちに視線を向けると、葵は慎悟くんからファンタを貰っていた。
それからは、私には聞こえないくらい小さな声で慎悟くんと葵は話し出した。
そして、しばらくすると話し終わったのか、慎悟くんが『じゃあな』と言って立ち上がった。
…え!帰るの!?
慎悟くん帰っちゃうの!?
よく分かんない状況に置かれた私に、慎悟くんは『素直にね』と言って、公園を後にした。
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