GOLD BOY〜不良彼氏〜



気まずい雰囲気に取り残された私と葵。



葵はベンチに座ってて、私はいまだにベンチの前に突っ立ってて、



「勝手にいなくなったら心配すんだろ」



私を見上げながら、ちょっと震えた声でそう言った。



「……ごめん」


「何かあった?」


「え?」


「慎悟んちで、何かあった?」




私が勝手に慎悟くんちから出てきた理由を当然知らない葵。



このことを聞いてくるのは、予想出来ていた。



でも、いざ聞かれると、答える言葉が見つからない。



他人の慎悟くんは、私がひとりぼっちになったことまで知ってて、



それを言われた時にも答える言葉が見つからなくて、今の私も同じ状況にいる。



ひとりぼっちって寂しかったって。

一人になりたくなかったって。

葵にそばにいてほしかったって。



甘えたいけど、出来ない。



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