GOLD BOY〜不良彼氏〜
素直になりたいのに、葵に理由を話せば楽になるのに言えない。
今更だけど嫌われたくないし、そんな事でとか思われて、うざがられたくない。
だから、無言になる。
上手く誤魔化せれば一番いいのが分かってるのに、誤魔化せられない。
「慎悟には話したんだろ?」
無言の私とは反対に、葵は質問を続ける。
違う、慎悟くんには話してない。
慎悟くんは自分で解釈して知ってるだけだよ。
そう言いたいのに、…言えない。
「言ってくんねぇと分かんねぇよ」
「…」
「慎悟には話せて、俺には話せねぇのかよ」
ゆっくり顔を上げると、そこには寂しそうな表情の葵がいて、私を真っ直ぐ見つめてた。
「そんなに話したくねぇのかよ」
「…」
「慎悟の方が頼れるからかよ」
だんだん葵の口調にイラつきが感じられてきて、眉間にはシワが寄ってて怒ってる。
「……がう」
「…あ?」
「違う、葵は何も分かってない」
分かってる。
私が話さないから葵が分かんないのも勘違いしてるのも怒ってるのも。
でも、あの時の私のひとりぼっちで寂しかった疎外感を味わったことだけは、
気付いてもらいたかった。
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