GOLD BOY〜不良彼氏〜



「いや、は?じゃなくてさ。お前佐々木葵と付き合ってんだろ?」



いや、付き合ってんだろ?じゃなくてさ。

何でお前が葵を知ってて、付き合ってることまで知ってんの?



まずは、そこだろ。



掴まれた腕を解けずにいた私は、解くタイミングが分かんなくて、そのままの状態で話した。



「それ、誰から聞いたの?」


「んー…、誰から聞いたっつうより、風の噂で聞いた感じ」


「風の噂?」


「ああ。お前と佐々木葵が付き合ってんのなんて有名だぜ?知らねぇやつはいないくらい」



早くレジの仕事に戻んなきゃいけないのに、いっこうに腕を離そうとしてくれない神崎。



お客さんとして来てる他のクラスの女子たちからの冷たい視線が、とにかく痛い。



そもそも、私と葵が付き合ってることを知って何だって言うんだろう。


神崎は損得で動く性格。


そんなことの真実を今更知って何になるんだろう。


損得でいったら、むしろ無駄な時間で、損なんじゃないだろうか。



「何でそんなこと聞くの?」

「気になったから」

「…は?」

「佐々木葵と、本当にお前が付き合ってんのか気になったから」

「……」

「ただそれだけだけど。なんか文句ある?」



……ありません。



そう答えるしかなかった。



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