GOLD BOY〜不良彼氏〜
神崎はいつの間にか腕を離してくれて『また話そうぜ』と言われたから、レジの仕事に戻った。
それからは神崎も大人しくなって、普通(?)の客のように注文をとって、数分したらレジに来た。
レジに来たから会計を済ませて、神崎に手を振られたから振り返して、神崎は教室を出ていった。
「ねぇねぇ美鈴、午後からうちら自由じゃん?美鈴どうすんの?」
午前中担当の時間が終わる5分前に、レジにいる私に近寄ってきたゆずが呟いた。
「あたし菊哉と回る約束してるけど、断ってもいいよ?」
私も葵と一緒に回る約束をしていた。
それなのに、この前喧嘩した日から一回も喋ってなくて、
メールも電話もお互いしてないから音信不通状態。
私も私で、早く誤解を解いて『ごめんなさい』って一言謝ればいいのに出来ない。
意地っ張りな性格が邪魔して、謝りたいって素直な気持ちが消されちゃう。
ゆずにも喧嘩のことを話したら、すぐに謝んなさいって言われた。
それが出来たら、一番いいんだけどね――…。
「ありがと。でも、ゆずは菊哉と2人で回ってきなよ?」
今の私には、謝るって行為が出来そうにないから、今日の学校祭は1人で回ろう。
ゆずに迷惑かけたくないし、菊哉はどうでもいいけど。
.