GOLD BOY〜不良彼氏〜



何分が経っただろう。



葵が半分無理矢理に廊下に緑さんに連れ出されてから何分が経っただろう。



ドアの向こう側では私の予想通り殴り合いが勃発してるらしく



壁からは、ドンッとかバコッとか殴り合ってケンカになってるであろう音が聞こえてきた。



それに緑さんは相当葵に自分のバイクを勝手に使われたのが気に入らないらしくて、



「ふざけんじゃねぇぞ!てめぇ勝手に借りたのこれで何回目なんだよ!」



そう怒鳴ってんのが部屋の端っこにいる私にも聞こえてきた。



っていうか葵……


そんなに何回も無断で緑さんのバイク借りてんの……?


それは駄目だろ……


いくら兄弟だからって礼儀は必要だろ……


親しき仲にも礼儀ありって言葉あるんだから……



葵もああいう失礼な態度で謝って何回も無断でバイクを借りたみたいだから、殴られて当然。



さっきまでの葵が可哀想なんて気持ちは私の中にはもう無かった。



だけど――…



「じゃあ兄貴はどうなんだよ?兄貴だって俺のバイク無断で使っただろうが!」



緑さんも可哀想とは思わなかった。



.
< 208 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop