GOLD BOY〜不良彼氏〜



葵と私の唇が離れ私の目から頬まで流れてる涙はもう乾いていた。



乱れてる息を整え、ふと葵の顔を見上げた。



葵は「ん?」と首を傾げて私の頭をそっと撫でた。



「どうした?」



優しくそう問い掛け私の話を聞いてスッキリした葵とは反対に、私は内心スッキリしていなかった。



あの時の気持ちもあったことも葵に話せたことで、モヤモヤとしたものは少し消えスッキリした。



けど、肝心なことを話してない。



葵は気付いてて聞いてこないのか本当に気付いてなくて聞いてこないのかは分かんない。



でも慎悟くんの話題には触れてない。


私が慎悟くんと葵を比べてしまったことに葵が一番怒ってたから。


だから言い出しにくい。



謝ろう謝ろうと部屋に入る前から考えていたのに臆病な私は――…行動に移せないでいる。



「まだ何かあんの?」


「…」


「あんなら言え。溜め込むな」



“溜め込むな”



この日からからもしれない。



葵の口癖になったのは。



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