GOLD BOY〜不良彼氏〜



「………ごめんね」



あれからどのくらい時間が経ってからその言葉が口から出てきたんだろう。



意外にも涙もろかった私は涙きながら震えた声で葵に謝ってた。



「何が?」



葵はさっきと変わらない優しい穏やかな声で私に問い掛ける。



「…比べたりして、ごめんね」


「比べたり?」


「慎悟くんは…話さないでも分かってくれたとか…言っちゃったから………」



その後に「…ああ、あれね」と笑いながら答えた。



私は笑う葵を不思議に思い、首を傾げた。



「あれも美鈴は悪くねぇんだよ」



…なんて、訳分かんないことを言い出した。



「実際ムカついたのは比べた美鈴じゃなくて、慎悟なんだよ」



さらに訳分かんないことを言い出す葵。



てっきり『あれはお前が悪い』と言われると思い込んでいたから、私の頭の中はごちゃごちゃ。



「どういうこと?」



再び頭を撫でてくる葵。



「自分の女の気持ちを、先に他の男が分かって慰めるなんてムカつくだろうが」



頭を優しく撫でてたその手は、荒々しく私の髪の毛をぐしゃぐしゃにするほど撫でた。



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