GOLD BOY〜不良彼氏〜
葵はゆっくり起き上がってベッドの上で胡座をかくと、
俯いたまま何も話さない。
………葵?
何か話してくれればいいのに、私たちを包んだのは皮肉にも長い沈黙だった。
何で話してくれないんだろう。
何でもいいから話してくれればいいのに。
話してくれないとか………
私に言えない関係だったりするの?
一度そう思ってしまうと物事をマイナスにしか考えられなくなってしまう私。
もう葵の顔を見ることが出来なくて、葵と同じように俯くことしか出来なかった。
「緑兄の知り合い」
「え?」
だから、葵がいきなり話し出すもんだから上手く聞き取れなかった。
「緑兄の知り合いなんだよ、舞子さん」
「だから家にも何回も遊びに来てて、そんで俺も知り合ったんだよ」
「そんで今も家に遊びに来たりしてて学校祭の日教えろ教えろ言うからさ――…」
全部、葵の話してる事全部
葵の声が頭に入ってこない。
違う空間にいるみたいに聞こえてくる。
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