GOLD BOY〜不良彼氏〜
さすがに涙を押し殺せそうになくなった。
前まではこんなに涙もろくなかったのに。
前はもうちょっと強かったのに。
いつからなんだろう。
こんなに涙もろくなったのは。
『トイレ行ってくるね』と葵に聞こえるくらいの小さい声で言って、慎悟くんの部屋を出た。
ああ、ヤバかった。
涙出るとこだった。
ほんとにみんなの前で泣くとこだった。
だからって部屋から出てきたはいいものの、ここにいても誰かに見つかるかもしれない。
でも今日は慎悟くんに長谷川舞子のことを聞きに来たから手ぶらでは帰れない。
どうしよう。
涙も乾いてきた。
今から部屋に戻っても平気かな。
トイレって言って出てきたんだから今なら戻れるだろうと、ドアのぶに手が触れたときだった。
ガチャンと音がして、触れたドアのぶが回り静かにドアが開いた。
部屋から出てきたのは、お財布を持った慎悟くんで。
「トイレの場所、分かる?」
爽やかににっこりと笑われた。
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