GOLD BOY〜不良彼氏〜



「彼氏と、結婚考えてんだよ」



真剣な顔の、葵。



その顔を見れば見るほど、その言葉の真実味が伝わってきて、舞子さんに罪悪感を抱いた。



「だから、暴力振るわれてても別れられねぇんだよ」



葵の声が悲しい。



私にはやっぱり分かんない。

舞子さんの彼氏が、舞子さんに暴力を振るうことが。



それに、今までは舞子さんがその彼氏を好きなことも分かんなかった。

でも今なら分かる気がする。

好きだから別れられないんだ。

好きなのに理由なんていらないし。


だから、過程としてこの人と結婚したいって思うのも当たり前なのかもしれない。



だって、私だってこの先葵と結婚したいって思うし、子供も欲しいとか思うときもある。



それと同じように、舞子さんは彼氏と結婚したいって思ってるだけだ。



ただ、彼氏が暴力を振るうから。



舞子さんは、あと一歩を踏み出せないでいるのかもしれない。



「だから俺は助けてやりたいって思ってる」


「……うん」


「元カノだからとか、舞子さんだからとか、そんなの関係なく、助けてやりたい」


「……うん」


「それだけだよ」



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