GOLD BOY〜不良彼氏〜



葵と舞子さんの話も終わり喫茶店を出た。



すると舞子さんは私だけに聞こえるような小さな声で、私の耳元で言った。



“あたしね今日康介に言おうと思うの。暴力振るうのは止めてって言うつもり。 だから……”



舞子さんは悲しい表情で、声を震わせながら、言葉を続けた。



『もし、それで康介が納得いかなくて別れるようなことになったら……美鈴ちゃんに、慰めてもらってもいいかな?』



康介とは彼氏の名前で、私はそれを聞いて思った。



舞子さん何言ってるの?

私なんかに何で気を遣ってるの?

慰めてもらってもいいかな?なんて……。



「そんなの当たり前です」

「…え?」

「肩でも胸でも何でも貸します」

「……うん」

「その代わり、」



舞子さんはけじめをつけるために彼氏に暴力のことを話して、プロポーズすることにしたんだと思う。



だから、もし彼氏の康介という人に納得してもらえなくて、別れることになったんだとしたら

私が慰めたいって思う。

そんなのはもう今更。



でも………



「葵の事、返して下さい」

「……え?」

「あたしの葵、返してもらえませんか?」



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