GOLD BOY〜不良彼氏〜
"いや、いいよ"なんて今更言えるわけもなく。
車はあっという間に私の家に到着してしまった。
外はさっきまで春風が吹いていたのに、今はもう風は吹いていなく悶々としていた。
「じゃあ明日ね!……あ!美鈴、漫画貸して!」
助席の窓からゆずが手を振りながらそう言うから、
急いで家から漫画を持ってきて助席に座るゆずに渡した。
ゆずには漫画を貸していて、いつも週明けとかに渡しているから週一は貸さないといけない。
だからといって私の無限にある漫画が無くなることもない。
そして、いつものようにゆずから漫画と交換してる新作のCDを受け取った。
ゆずの家はレンタルCD屋をやっているから、いつも私はゆずから借りてダビングしてる。
そして、2人の交換が終わると車は勢い良く走り出した。
「あいつも漫画好きだよな。あんなののどこが面白いの?」
漫画の良さを、乙女心を分からない葵に捨て台詞のように
「男には分からないよ」
と言って葵を置いて一人で家の中に入っていった。
.