GOLD BOY〜不良彼氏〜



葵が戻ってきたのはそれから数分後で、

葵の手には、煙草が数個とファンタが2本入ってるコンビニの袋があった。



すっかり舞子さんは、さっきのキツい感じから優しい感じに戻ってて、口調も柔らかかった。



私にたいする視線は冷たいままなのに、葵にたいする視線は優しくて柔らかい。



舞子さんって、こんな人だったっけ。

私にたいしてこんなに冷たかったっけ。

表裏ある人だったっけ。



舞子さんのことを全て知ってるわけじゃないけど、私が今まで見てきた舞子さんは、こんなんじゃなかった。




「ねぇ、葵」


「ん?」


「もし私がフられたら、葵が私を慰めてくれる?」




この甘い大人な声が、甘えるような誘うようなこの声が葵にも聞こえてるんだって思うと。



胸が苦しい。


どうにもできないから、さらに苦しい。


舞子さんを大切に思ってるからこそ、舞子さんを助けてあげたいと思う葵の気持ちが、苦しい。


私には苦しい。




「あんまりそういう事言わない方がいいと思います」


「…え?」


「もし、とか。そういう事考えないで、自分に自信持った方がいいと思います」



………だって、



葵は舞子さんをすごく大切に思ってるから。



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