GOLD BOY〜不良彼氏〜
私がいちばんそのことをよく知ってるから。
舞子さんのことを助けたいと思う気持ちは、葵がいちばん強いってこと、よく知ってるから。
だから、苦しいの。
どうしようもできないから、苦しいの。
舞子さんは私をチラッと見て、そしてまた視線を葵に戻した。
まるで、私はこんなに葵に大切に思われてるのよ、とでも自慢するように。
「そうよね。自信持たなきゃ駄目よね。葵が味方でいてくれるんだもん。自信持たなきゃね」
舞子さんがそう言いながら見せた笑顔は、さすがモデルだと思わせる完璧な笑顔。
「康介の誕生日は……葵来てくれるんだよね?」
「あ?あぁ。つか、危なくなったら電話して下さい。すぐ行くんで」
「うん。ありがと。葵がいると……心強いから頑張れる」
喫茶店の前でそれだけ話すと、舞子さんは仕事があるからといって私たちと別れた。
それから葵と私は葵のバイクに乗って葵の家に帰った。
葵の家の車庫には、緑さんのだと思われる大型バイクが置いてあったから、緑さんがいるんだと分かった。
その大型バイクの隣には、一回り小さい原付バイクが置いてあって、その隣に葵は自分のバイクを止めた。
「なぁ、美鈴」
「…ん?」
「俺の部屋にさ」
「うん?」
「緑、来るんだけど………どうする?」
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