GOLD BOY〜不良彼氏〜
お前何か今日憎たらしくね?
後から家の中に入った葵が私を見つめながら半笑いで呟いた。
「何か日頃の恨みを返してやりたくなったんだよね」
「は?」
「葵にされてることを今日は葵にしたくなったんだよね」
「俺何かしたっけ?」
そうやって惚ける葵にカッチーンときつつ、喉が乾いたため麦茶を淹れることにした。
私に無視された葵は後から台所に入ってきて、私が淹れた麦茶が入ってるコップを取った。
………っ!
それ、私が淹れたんだけど!
つか、私のなんだけど!
葵にはこれから淹れてあげようと思ってたんだけど!
葵専用のコップに淹れてあげようと思ってたんだけど!
そんな私の想いも儚く、葵は無言で私専用のコップを持ってリビングに行ってしまった。
「ねえ、葵」
「ん?」
「それ、私のコップなんだけど」
葵はコップをまじまじと見て確認し終わり、私の方に近付いてきた。
「悪い。見えてなかった」
「見えてたでしょ。だってニヤって悪魔の顔したもん」
.