GOLD BOY〜不良彼氏〜
限界だったの。
もう我慢の限界だったの。
心の限界だったの。
好きだから信じなきゃいけないって思って、葵を心の底から信じてた。
でもそれは信じてたんじゃなくて、信じてるつもりだったのかもしれない。
本当はどこか信じてなくて。
舞子さんがいちいち突っかかってくるたびに、葵の言葉を信じれてなかった。
信じてるって思ってたけど、それは上辺だけ。
私はいったい………葵の何を信じてたんだろう。
今だって、葵は否定しない。
舞子さんを好きだってことを、否定しない。
だから余計に不安になって、余計に葵を信じれなくなる。
「ほんとは……やだった。葵が舞子さんに優しくするのが、ほんとは凄くやだった」
「………」
「でも葵信じなきゃって。あたしも舞子さんを助けたいって思ったし。我慢しなきゃって」
「……なぁ」
「でも…もう信じれない。あんな言葉聞いたら……葵のこと、信じれる自信ない」
「……待てよ」
「限界なんだ。あたし、もう我慢出来そうにないよ」
「……待てよ!」
一回止めた涙がまた溢れ出してきて、葵の顔が涙でぼやけて見える。
もう、葵の低い声も、私の耳には入らない。
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