GOLD BOY〜不良彼氏〜



「緑、送ってやって」



葵がそう言って、緑さんのバイクに乗って家に帰ったあと、私は何も覚えてない。



ただ覚えてるのは、ひたすら泣いたことだけ。



後悔してる。

葵に何も聞けなかったこと。

葵に本音話せなかったこと。

葵にぶつけたのは確かに本音だったけど、やっぱり別れたくないって気持ちがあった。



優しい葵。
短気な葵。
怒ると怖い葵。
嫉妬深い葵。



私をいちばん分かってくれてた………葵。



でも限界だった。

だから別れを選んだ。

どんな葵も好きだったけど。

最後の最後に信じれなかった。



ベッドに倒れ込んで、止まらない涙をずっと流してたら毛布が涙で濡れてしまった。



けどそんなこと気にしてられないほど涙が出てきて、毛布にどんどん涙が染み込んでいくのが分かった。



好き。好きだよ葵。



好きだった、なんて過去形にできない。



こんなにも早くに後悔してる自分に腹が立つ。

あんなに悩んで、あんなに苦しんで、あんなに悲しい思いしたのに、別れたことに後悔してる自分に腹が立つ。



もう分かんなくなってきた。



自分はいったい、どうしたいんだろう。



.
< 316 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop