GOLD BOY〜不良彼氏〜
「緑、送ってやって」
葵がそう言って、緑さんのバイクに乗って家に帰ったあと、私は何も覚えてない。
ただ覚えてるのは、ひたすら泣いたことだけ。
後悔してる。
葵に何も聞けなかったこと。
葵に本音話せなかったこと。
葵にぶつけたのは確かに本音だったけど、やっぱり別れたくないって気持ちがあった。
優しい葵。
短気な葵。
怒ると怖い葵。
嫉妬深い葵。
私をいちばん分かってくれてた………葵。
でも限界だった。
だから別れを選んだ。
どんな葵も好きだったけど。
最後の最後に信じれなかった。
ベッドに倒れ込んで、止まらない涙をずっと流してたら毛布が涙で濡れてしまった。
けどそんなこと気にしてられないほど涙が出てきて、毛布にどんどん涙が染み込んでいくのが分かった。
好き。好きだよ葵。
好きだった、なんて過去形にできない。
こんなにも早くに後悔してる自分に腹が立つ。
あんなに悩んで、あんなに苦しんで、あんなに悲しい思いしたのに、別れたことに後悔してる自分に腹が立つ。
もう分かんなくなってきた。
自分はいったい、どうしたいんだろう。
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