GOLD BOY〜不良彼氏〜



自分の考えが分かんなくなってきた私は、翌朝勝手に無意識のうちに体が動いていた。



適当に洋服を着て、家の前に停めてある自分の自転車に乗って勢いよく走らせた。



もう分かんなかった。

全部がどうでもよくなってた。

いちばん大切なこと………忘れてた。



葵に今すぐ会いたい。

葵に今すぐ抱き締めてほしい。

葵に今すぐ触れてほしい。

今でも自分の体に残ってる葵の温もりが恋しくて、やっぱり知らず知らずに涙が出てた。



自転車で向かうのはただ一つ、葵の家。



舞子さんが近くにいたって、もうどうでもいいって思える。

私と葵は何も変わんないんだから。

葵が舞子さんを好きだとしたって、もうどうでもいいって思える。

私は何も変わんないんだから。



だから………ねぇ葵。



もう一度だけでいいから、私だけを見てるって、言ってよ。



こんなこと今更思う私は最悪で最低で自己中なのかもしれない。

あんなに限界って言っといて、あんなに我慢できないって言っといて、最低な人間なのかもしれない。



それでも後悔してる自分に後悔してるから、このままじゃ駄目だって思う。



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