GOLD BOY〜不良彼氏〜
だから、また今度聞くよって笑顔で言おうって決めた瞬間に
煙草を吸ってる葵は自分の中学人生を語り出してしまった。
他の中学のやつを1人で数十人相手に勝って、停学処分をくらったこととか
煙草が見つかって煙草を水道水でグチャグチャにされたこととか
鼻を殴られすぎて鼻血が止まらなくなったこととか
とにかくたくさん聞かされた。
途中で耳を塞ぎたくなったりもした。
けど葵は話し続けた。
わざと私を怖がらせるような喋り方で話し続けた。
私が涙目になるまで話し続けた。
「最悪最悪最悪!」
「は?」
「あんなに怖いなんて知らなかった!」
「だから覚悟しろっつったろ」
そしてまた葵は、何本目なのか分からない煙草に火をつけた。
あたしはというと、あまりに怖くて最後にはソファに体育座りで毛布を頭からかけていた。
毛布の中からも煙草の匂いがして今すごく恨んでる葵を近くに感じる。
あんなに怖いなんて知らなかったんだもん。
あんなにグロいなんて……
本当にボッコボコに殴り合ってたなんて。
「知らなかったもん!」
「は?」
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