GOLD BOY〜不良彼氏〜
「『お前、その子に本気なんだろ』って」
葵はいつだって私のことを考えてくれてて。
葵はいつだって私のことを想ってくれてた。
舞子さんと付き合ってた当時のことを詳しく知らない私は、
てっきり舞子さんが今でも忘れられないんだって思いこんでて………。
「あの時あぁ言ったのは、本気でそう思ったからじゃねぇ」
………え?
やっと、舞子さんと付き合ったときと、私と付き合ったときの違いを、葵が話してるんだって分かったのに…。
また……分かんなくなった。
「早く解放しねぇと、これから康介さんはエスカレートして、舞子さんをもっと傷つける」
「………」
「目的が緑なのに、舞子さんが傷つけられるのなんておかしい」
「………」
「康介さんもきっと分かんなくなってきてる。自分がいったい誰を恨んでるのか」
「………」
「俺は康介さんが総長ならデビルに入ろうって思ってた」
「……え?」
「小さい頃、康介さんとか大和さんによくしてもらってたんだ」
「……うん」
「だから菊哉みたいに、いつか暴走族入りてぇなって思ってた。けど………」
「けど?」
葵は銜えてた煙草を灰皿で火を消して、悲しそうな瞳で私を見て、俯いた。
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