GOLD BOY〜不良彼氏〜



葵は私に何度も“違う”って伝えてくれてたのに、それを私はマイナス思考で聞こうともしなかった。



葵が酷いんだって。

私より舞子さんの方が大切なんだって。

そうやって………葵の本当の気持ちも知らずに、思い込んでただけなのかもしれない。




「ごめ、ん、なさい」



葵の熱い手が私の手を包んだ。



だから、下を向いた私の目から零れる涙が、葵と私の手に落ちた。




「分かっ、てたの。舞子さんのこと、別に、葵が、今、好きじゃ、ないって」



途切れ途切れになってしまう私の言葉は葵にとって聞き取りにくいはずなのに、


葵は「……あぁ」って、私の手を強く握ってくれた。



「でっ、でも、やっぱり、舞子さんの、方が、守って、あげたく、なる、タイプなんじゃ、ないか、なって……」


「……ん」


「あたし、可愛くないし、素直じゃ、ないし、舞子さんの、方が、可愛いし、素直、だし」


「………」


「そう思ってる自分が、や、やっぱり、嫌で……」


「……ん」


「わ、別れよ、って、言っ、言った……の」



今までのいろいろな想いが混ざって、張りつめてた想いも混ざって、それがいっきに涙になった。



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