GOLD BOY〜不良彼氏〜

★ひとつの生命




お母さんとお父さんに『あたしって産まれてよかったの?』って直接聞いたことは一度もない。



…というか、何て言われるのか分かんないから怖くて聞けない。



もう話すことはないんじゃないかってくらい話した私たちは、いつの間にかお昼になってることにも気づかなかった。



「お腹空いたぁ」



玲香がそう言うから、私はお昼ご飯を作るためにキッチンに向かった。



すると、1年ぶりにキッチンに入るお母さんが、私の後を着いてきた。



だから、今がチャンスだって思った。



お母さんたちはお父さんの仕事の関係上、あと3日で九州に帰らなければならない。



きっと明日と明後日は、お母さんの実家やお父さんの実家に行ったりで忙しいと思う。



だから、こうやってゆっくり話せるのも今日だけかもしれない。



私はずっと心の奥がモヤモヤしてた。



私は本当に周りに望まれて産まれてきたのだろうかって。

ずっと疑問だった。

お母さんとお父さんの大切な時間を無駄にさせたんじゃないか、って。

ずっと思ってた。

私は産まれてきて、よかったのか、って。



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