GOLD BOY〜不良彼氏〜



涙をポロポロ流すあたしを慰めることもせず、見ようともしないお母さん。



だけど、ゆっくり話してくれた。

私が知りたかった、お母さんの本当の気持ちを。



「言っとくけどね」

「………」

「あたし、間違ったことはしたくない派なんだよ」

「………」

「だからさぁ」

「………」

「あんたを産んだこと、間違いなんて思ったこと1回もない」

「……っ」

「何か溜め込んでんなって思ったけどさ」

「……っ」

「そんなこと溜め込んでたの?」

「……っ」

「確かに遊びたかったよ」

「………」

「まだ16だったしね」

「………」

「でもさぁ、16で子ども産むとか凄くない?義務教育終わったっつったって、まだ中学卒業して半年だったんだよ?」

「………」

「普通じゃ経験できないことでしょ?それって凄いじゃん。だからあたしは美鈴を産んだの」

「……グスッ」

「自分の分身が自分のお腹の中で生きてて、これから産まれてくるなんて凄いことじゃん?今すぐにでも美鈴の顔が見たくなったの」

「……ごめん、なさ、い」



お母さん、ごめんなさい。

私は産まれてきちゃダメだったんだなんて思ったりして。


『ごめんね』なんて言葉言おうとしてごめんなさい。

本当に言うべき言葉は『ありがとう』だったね。



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