GOLD BOY〜不良彼氏〜
突然言葉を遮られた葵は少し低い声で『は?』と言い、私の『嫌なの?』という言葉で黙った。
だって今では葵が私の家に泊まるのが当たり前になってる。
私のお母さんとお父さんだって、きっと葵に泊まってもらいたいって思ってるに決まってる。
だったら葵が『帰ります』なんて遠慮して帰る理由もない。
「ほんと、あんたたちって無駄に仲良いよね」
熱いお茶を飲んだ後に、少し嫌味っぽくお母さんは私たちにそう言った。
確かに仲良いけど?
けど“無駄に”って何?
“無駄に”っていらなくない?
「あぁ。無駄にっていうのは、すごくって意味だからね。別にケンカ売ってるわけじゃないから」
そう思った私は“無駄に”って部分に体が少しビクついたらしく、お母さんに呆気なく見破られた。
でもお母さんが明らかにケンカを売ってます的な口調で“ケンカ売ってるわけじゃないから”って言うもんだから……。
「お母さんとお父さんの仲の良さには負けるけどねー」
つい、軽い気持ちでお母さんに、勝てるわけがないケンカを売ってしまった。
.