GOLD BOY〜不良彼氏〜



「確かに負けるかも。あたしと克哉なんか20年近く一緒にいるし」


「なっ…、あたしと葵なんか同じものいっぱい持ってるし」


「あたしと克哉はお揃いの結婚指輪あるから。あんたたちの安い指輪とは比べ物になんないくらいのね」


「…や、安い指輪でも、世界に1つしかない指輪だし。あたしと葵のためにわざわざお店の人が作ってくれたんだから」


「あたしたちなんか、毎日『おはよう』と『おやすみ』のキスしてるんだから」


「あっ…あたしだって、毎日葵に不意打ちキスされてるんだから」


「どうせフレンチキスでしょ?しかもほんとに毎日してんの?嘘ついたら、どうなるか分かってるんでしょうね」


「ま、毎日だし!フレンチキスだけじゃないから!濃厚なディー……」



すっかり回転寿司屋だということを忘れてた私は、食事する場で言ってはいけないことを言おうとしていた。



しかも、大声で。



だけどそれを止めてくれたのは、

これ以上話せないようにお母さんの口を手で塞いだお父さんではなく。

『お前、それ以上言うんじゃねぇぞ』って顔して私を横目で見る葵でもなく。



「フレンチキスって、何?」



………純粋で素直な玲香だった。



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