GOLD BOY〜不良彼氏〜



「お前は……決まってんの?」



お父さんのその質問に、わざわざ『何が?』と聞かなくても、すぐに何を聞いてるのか話の流れで分かった。



「……まだ……」



だから、そう答えるしかなかった。



葵みたいに早くに進路が決まったわけじゃないから、まだ私は就職先が決まってない。



………というか、就職先を探してないのが現状。



でも今さら隠すつもりもないから正直に言ったわけで……怒ってるであろうお父さんの顔が見れなくて、俯いた。



「あの……俺、お父さんにお話があるんです」



けど俯いた瞬間、隣の葵の声が聞こえたから、結局すぐに顔を上げることになった。



顔を上げるとお父さんは困惑した顔をしてて、やっぱり私の就職先が決まってないことに呆れてるようだった。



それはもちろん当たり前のことだから、覚悟はしてたし全然平気なことなんだけど……。



私は葵の言った言葉に引っ掛かった。



葵がお父さんに話したいことって……いったい何なんだろう。



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