GOLD BOY〜不良彼氏〜



互いに真剣に見合う葵とお父さん。


そんな場面今までに見たことがないから、すごく新鮮に感じる。



そしてこの場面はまるで………



漫画やドラマでよくある、彼氏が彼女のお父さんに結婚の許しをもらう時のよう。



だから内心ドキドキしてる。



「この3年間、美鈴さんにはたくさんの迷惑をかけました」

「………」



それに、いつもより落ち着いた低い声の葵にドキッとする。



「心配もたくさんかけたし、正直俺といて美鈴さんが幸せになれるのか自信がありませんでした」



………ゆっくりと、話す葵。



その声が私の胸に響く。



「でも、これから先も美鈴さんといたいんです」



私だって……葵とずっと一緒にいたい。

いつだって、離れたくない。



「今まで中途半端に生きてきた俺を変えてくれたのは美鈴さんです。だから、美鈴さんに出会えて本当によかったって思ってます」


「………」


「美鈴さんを好きになって、本当によかったって思ってます」


「………」



『まぐろ取ってー』と隣の席から小さい子どもの声が聞こえ、中央に立つ寿司を握る男の人達は大きな声で『はいよー』と返事をしてる。



葵の話してる話題がこの場に似合うか似合わないかっていったら似合わないけど。



別に場所なんか関係ない。

葵のその言葉が………何より嬉しかった。



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