GOLD BOY〜不良彼氏〜
なんとなく分かってた。
自分でもこれから葵が何を言おうとしてるのか。
この雰囲気からして、言おうとしてることは限られてくる。
でも、期待はダメだって思ってた。
期待してもし違ったらって考えると………私には期待できるほど自信がなかった。
「………来年の春から」
結局は望んでる。
葵からの言葉を。
期待しないといいつつ、結局は期待しちゃってる。
だから、知らず知らずのうちに。
「ちょっ、あんた泣いてんの?」
涙が溢れ出てくるのかもしれない。
ほっといてくれればいいのに。
見て見ぬふりしてくれればいいのに。
わざわざ声に出さなくていいのに。
心の中で『ちょっ、あんた泣いてんの?』って言ってくれればいいのに。
まだ葵が何も言ってないうちから泣いてたら、まるで私が期待しちゃってるみたいじゃない。
確かに期待しちゃってるんだけど。
だからこうして……涙が止まらないんだけど。
「美鈴」
葵が優しく切ない声で名前呼ぶから………さらに涙は溢れ出した。
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