GOLD BOY〜不良彼氏〜



「今年の春から、美鈴さんと一緒に暮らしたいんです」



ゆっくりな口調でそう言った葵は、スッと丁寧に頭を下げた。



葵が頭を下げてる姿を初めて見た。


今までプライドが高い葵が、頭を下げてるところを見たことがない。



だけど、そんな葵が頭を下げてるということが、どれだけの覚悟なのかが私には分かった。



プライドの高い葵が頭を下げたということは、

プライドなんて捨てて、頭を下げてもいいくらい、私と一緒に暮らしたいって思ってくれてるってことで…………。




………涙はやっぱり止まることを知らなくて、たくさんの涙が頬を伝った。



「それは、結婚せずにって意味か」

「今はするつもりないです」

「一緒にいたいのにか」

「俺にはまだ美鈴さんを養ってく力がありません。だから今は結婚できません」

「それなのに同棲するのか」

「美鈴さんと一緒にいたいんです」

「じゃあ何で……」

「克哉、もう止めなよ」



私がたくさんの涙を流してるうちに、お父さんは葵に質問攻めをしてた。



それを止めたのはお母さんで、次に泣いて酷い顔になった私に『あんた顔酷いよ』と忠告した。



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