GOLD BOY〜不良彼氏〜



『同棲なんか認めない』と言われたらどうしようかと悩んでた私の耳に聞こえたのは、

そんな予想とは反対の、お父さんから欲しかった言葉だった。



「俺も別にいいと思うよ。でも、1つだけ約束がある」



お父さんは吸っていた煙草を灰皿に押し付け火を消し、葵に視線を向けた。



約束……?



そう思ったけど、この際どんな約束でも聞いてやろうって思った。



葵とこれから一緒に暮らすことができるなら、どんな約束だって果たせる自信がある。



「美鈴のことを幸せにしてくれ。守ってくれ」

「……そんなの、当たり前です」

「俺たちはこれからも九州にいる。美鈴のそばにいてくれればいい。とにかく幸せにしてくれ」

「最初から幸せにするつもりです」

「その代わり…」

「………」

「結婚の許しは聞かなくてもいい」



………え………?



「葵くんなら美鈴を任せられる」

「………」

「同棲して葵くんが美鈴のことを、まだ好きだと思ってくれていたなら、」

「俺は変わりません」

「え?」

「美鈴を好きな気持ちは絶対変わりません」

「…そうか。まぁ、そういうことだ」



こんなにも幸せなことが一度にたくさんも起こってしまっていいのだろうか。


逆に幸せすぎて、これから不幸なことが起こりそうで不安になる。



………だけど………何でだろう。



今日はどうも………涙がなかなか止まらない日らしい。



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